【佐賀市】ミステリ作家トークショーが11/1開催!佐賀で語られた、京大ミス研という“物語の実験室”
佐賀市で、ミステリ作家トークショー&サイン会 in 佐賀市が佐賀市のエスプラッツホールで2025年11月1日(土)に開催されました。

主催は作家・竹本健治さん。今回は京都大学ミステリー研究会(通称・京大ミス研)ゆかりの作家による特別トークショーが開催されました。

登壇者には、竹本さんの他大山誠一郎さん、方丈貴恵さん、麻耶雄嵩さんが名を連ね、学生時代の思い出から創作への道のりまで、貴重なエピソードが語られました。
司会は、京大ミステリー研究クラブ出身で佐賀ミステリファンクラブに所属する園田竜之介さんが務め、軽妙な進行で会場を盛り上げました。

京大ミス研の伝統と“犯人当て”文化
京大ミス研は1974年に設立され、昨年で創立50周年を迎えました。
伝統行事として知られる「犯人当て」では、会員が短編を執筆し、他の部員が推理して答えを導くという本格ミステリーの訓練が行われてきました。

麻耶雄嵩さんは「7回前後ほど参加していた。夏合宿での“犯人当て”で自信がついた」とのことで本格ミステリー小説「シベリア急行西へ」の元にもなったと語り、大山誠一郎さんも「トリックを考える過程で、ミスリードの面白さを学んだ」と振り返りました。方丈貴恵さんは「犯人当てでは、サークルのみんなが騙されることを楽しんでくれる。それが創作の喜びだった」と微笑みました。
作家たちの“始まり”とミス研との関係
竹本健治さんは、実は京大ミス研とは無縁で、もともとは漫画家志望。「小説家・中井英夫さんに原稿を見せたら『これでデビューしなさい』と言われ、戸惑いながらも作家の道に進んだ」と明かしました。
一方で、大山さんは中学の頃から作家志望。大山さんが高校生だったころに「親に『何を考えているの?』と心配されながらも、日常生活の中でトリックを練っていた」と会場を笑わせました。
麻耶さんは「作家になろうと思っていたわけではなく、書きたいものを書いていたら作品になっていった」と語り、方丈さんも「元々ミステリー作家とは縁のなかったが、いつの間にかサークルに入っていた。卒業後、4年間就職し違う仕事についていたが、離れると逆に気になってきて再び書きたくなって鮎川哲也賞に応募した」と述懐。いずれも“創作への情熱”が静かに灯り続けていたことを感じさせます。
大学生活の記憶、そしてこれから
京大ミステリー研究時代の大学生活の思い出として、麻耶さんは「朝まで語り合う時間が楽しかった」と語り、大山さんは「深夜の部室に立ち寄って過去の作品を読むのが好きだった」と懐かしそうに微笑みました。方丈さんは「ボードゲームを通して心理戦を学んだ」と、作風につながるエピソードを披露しました。
竹本さんは「自分にはなかった“仲間と創作する時間”が羨ましい」と後輩たちにエールを送りました。
最後にご自身の連載小説「五色殺戮」が最終話を迎え、次の小説のお話を考えなければならないとのお話もされていました。

とても実のある2時間のトークショーは、あっという間に過ぎてしまいました。
創作と友情の交差点に立つような、豊かなひとときでした。次回もぜひ参加したいです。
※取材ご協力いただきありがとうございます!





