【佐賀市】深い余韻を残す幻想と現実の交錯『空想的形状記憶について』佐賀公演が9/7に開催

佐賀市のカフェ蝙蝠（こうもり）で、佐賀にゆかりのある俳優・松下莉久（りく）さんオリジナル脚本、演出の演劇『空想的形状記憶について』の佐賀公演が２０２４年９月７日（土）に開催されました。

カフェ蝙蝠は、和と洋が調和する静かなノスタルジックな雰囲気があり、すりガラス越しに松原川の風景を観ながら落ち着いてカフェメニューを楽しむことができる場所です。

カフェ蝙蝠（こうもり）

開演１５分ほど前に到着、注文したドリンクを楽しみつつカフェの雰囲気に浸りながら、開演を待っていました。

スタインウェイのピアノの心地良い旋律と緻密なシナリオが紡ぐ２つのストーリー

演劇はカフェに置かれているスタインウェイのピアノを前に、観客と同じフロアでアオさん演じる男から松下さん演じる男にある話を告げるところから始まりました。そこから松下さん演じる男のモノローグが始まり、時折、対話を織り交ぜながら描かれる朗読劇となっていました。

シナリオの面白さもさながらお二人の演技力も高く、見ごたえのある朗読劇となっていました。

orchid(オーキッド)のカワサキさん

１０分ほど休憩があり、次の演劇はorchid（オーキッド）のカワサキさんのピアノ演奏から開幕しました。スタインウェイのピアノの音色がとても心地良く会場に響き渡ります。

ふたつめのストーリーは、最愛の人との思い出を取り戻しにいくお話で、『７００wの明るさと１０cmの勇気を水が入ったボウルに入れて苦しみを半分こにして炒めて悲しみを５g笑顔で薄めて最後に大さじいっぱいの愛情を注ぐ』このセリフが物語のキーとなり男女４人によって描かれる幻想と現実が交錯したストーリー展開となっていました。

観た後に、以前松下さんにインタビューされた際に伺っていた（「演劇」という見て伝わるツールや「小説」という文字で伝わるツールを加えてそれぞれの良さが相見える物語となっています。おそらく見てくださった方のストーリーの答えは人それぞれになるだろうと思います。）という言葉を思い出しました。

５人の俳優の演技力と言葉をとても大切にした演劇は、終演後も深い余韻を残すとても素敵な作品でした。

終演後、松下さんはじめすべての出演者にお話を伺いました

終演後、全ての出演者にお話を伺うことができました。

松下莉久さんは佐賀東高校の演劇部出身で東京で俳優活動を続けており、今回の佐賀公演は5年ぶりの出演となりました。今後、佐賀の演劇の活性化に向け、佐賀でも演劇活動を展開する可能性があるとのことです。

松下莉久さん

笑顔がとても素敵で、演技に入ると一変してまったく違う雰囲気を纏（まと）われるので、そのギャップがすごいなと感じました。舞台「Legion」やテレビ朝日のドラマ特捜9などに出演されていて今後の活躍が期待されます。

Misato.さん

Misato.さんは今回が演技初挑戦とのことでしたが、とてもナチュラルな演技で落ち着いた雰囲気がありながらも、愛らしい魅力にあふれる方でした。劇中の音楽を担当され、ピアノを演奏されたカワサキさんとorchid（オーキッド）というユニット名で音楽活動をされています。

今回の音楽にいたく感動された観客の方もいて、カフェ蝙蝠（こうもり）でもライブされることもあるようです。東京在住とのことでした。

江藤君佳さん

江藤君佳（きみか）さんは、福岡と佐賀を拠点に活躍する俳優で、ふたつめストーリーに出演され、素晴らしい演技を見せてくださいました。松下さん同様、演技に入ると別の雰囲気を纏い、その魅力がさらに際立ちます。また、ポートレート写真の被写体としても活動されているようです。

吉田萌雪さん

吉田萌雪（もゆき）さんは、１つめの朗読劇に出演されていて、チャーミングな笑顔が印象的で人を引き付ける魅力があるとても素敵な方でした。

主に東京で俳優活動をされていて、ミライグループ所属で舞台では「トライアル」神経質な女吉沢役、「佐藤家のぬかどこ~ほかほかごはん~」佐藤睦美役、「Are U Lady?」主演渋谷このみ役、またテレビではテレ東のドラマ「星屑テレパス」ではクラスメイト役などで出演されています。今回の演劇も急遽参加されたとのことですが見事にこなしていらっしゃいました。